古文の教科書にもよく登場し、入試で出題されることも多い「源氏物語」。
2024年には作者の❝紫式部❞が大河ドラマ主役に選ばれていますし、おおまかなストーリーだけでも知っておきたい人、多いんじゃないでしょうか。
今回はそんな方のために、
源氏物語のあらすじがわかる本・知識を深められる本を、ありったけ集めてみました。
(実際に全ての本を手に取り、中身をチェックしています)
ご自身に合う本がきっと見つかると思うので、よかったら参考にしてくださいね。
中には難易度がやや高いものもあります。
「大体のあらすじは知っているんだけど、この機にもっと学びを深めたいな…」というときにも、ぜひご利用ください。
まんがで読みたい人向け
ここからは、まんが形式で源氏物語を読みたい人向けの本を6冊ご紹介します。
古典が苦手な人・時間のとれない人でも効率よくストーリーを理解できるはず!
①:あさきゆめみし 新装版(KC KISS)
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詳しさ | |
おすすめ年齢 | 中学生~ |
おすすめの人 | 源氏物語の世界にハマりたい人・少女漫画好きな人 |
「源氏物語を漫画で読む」の代表格といえば、やはりあさきゆめみし、でしょう!
80年代~90年代に大ヒットした、大和和紀さんの人気漫画です。
光源氏の一生(後半は息子が主役)が繊細かつドラマチックに描かれていて、源氏物語の世界にどっぷりハマることができます。(筆者も高校生のときに夢中になりました)
あさきゆめみしは心理描写が巧みで、セリフも情感たっぷり。
本作に限らず昭和の人気漫画はセリフが多めで、名言がたくさんちりばめられているんですよね…。
だから物語に深く没入できるんです。源氏物語に興味のある人には、ぜひ読んでほしい作品です。
今回ご紹介しているのは2021年に出版された新装版で、巻末には有名作家・漫画家のインタビューや解説が掲載されています。
2008年に発売された大判サイズの「完全版」も人気ですが、こちらは絶版になっていて手に入りにくい状態です。今から読むのであれば新装版をおすすめします。
②:源氏物語 (まんがで読破) (Gakken)
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詳しさ | |
おすすめ年齢 | 中学生~(ジュニア版は小学生~) |
おすすめの人 | 源氏物語を始めて読む人、少女漫画のタッチが苦手な人 |
累計400万部の「まんがで読破」シリーズから登場した、源氏物語です。
「あさきゆめみし」は人気ですが、絵が細かいため少女漫画を読み慣れていない人は受けつけない可能性も。
(昔、20代の男性にすすめてみたけれど「ストーリーが頭に入ってこない💦」と言われたことがあります)。
そんな方にはこちらの作品がいいかな、と思います。
太い線で読みやすく、ストーリーの大枠だけをコンパクトにまとめているので、大体の話の流れをつかみやすいのが特徴。
情緒にはやや欠けるかな?という印象もありますが、このくらいシンプルな方が理解しやすい場合もあると思います。
ここで紹介しているのは文庫版ですが、小学生高学年を対象にしたジュニア版(一回り大きいサイズ)も販売されています。
③:大掴源氏物語 まろ、ん?(幻冬舎)
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詳しさ | |
対象年齢 | 中学生~ |
おすすめの人 | 全帖の流れをざっと知りたい人、ゆる~く読みたい人 |
わかりやすさ、という点においては本作がナンバーワンかもしれません。
本作では、光源氏がなんと「くり」になっちゃってます。
(平安男子の1人称が「まろ」だから、まろ…ん?ゆるい!笑)
題名と同様、ストーリー展開もゆるやかで、気負うことなくふわふわと読み進められます。
(女性とのさまざまな恋模様も「しちゃった…」の一言で終わり。ワオ…)
それでいて解説もしっかり挟み込まれているので、読みごたえは十分です。
「古文なんてとても読む気がしないけど、受験のためにストーリーだけでも知っておきたい…」
そんな人でも、スキマ時間に学べると思います。
わが家にもこの本がありますが、受験生の息子には「あさきゆめみし」よりも本作の方が好評でした。
④:マンガで味わう源氏物語 (学研)
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詳しさ | |
対象年齢 | 小学生高学年~ |
おすすめの人 | 源氏物語を始めて読む人、どの世代にもウケる本を探している人 |
2023年11月に発売されたばかりの漫画で、とてもわかりやすい!と思ったのでピックアップしました。
源氏物語のストーリーが(宇治十帖編も含め)コンパクトにまとめられています。
A5判(15 x 1.7 x 21 cm)で通常の単行本よりも大きく、イラストも少女漫画風ではあるものの比較的タッチは強め。
年齢・性別を問わずどんな人でも読みやすそう…と感じました。
お子さんであれば、小学校高学年くらいからであれば1人で読めそうです。
また各所に解説が入り、源氏物語を全く知らない人でも迷いなくお話に入っていけるところも魅力。
初心者から知識を深めたい人まで、幅広いニーズにこたえられる本だと思います。
「源氏物語の本を読んでみたいけど、どれがいいかわからない」というときには、まずこちらをおすすめします。
⑤:まんがで名作 源氏物語(KADOKAWA)
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詳しさ | |
対象年齢 | 小学生高学年~ |
おすすめの人 | 角川まんが学習シリーズが好きな人 |
同じく、2024年1月に出版したばかりの本です。
角川まんが学習シリーズは、他の本よりもコンパクトな四六版(13 x 1.5 x 18.8 cm)。
高さが無いので収納しやすく、また小さなお子さんでも手に取りやすいという特徴があります。
紙面が小さい分文字の大きさや配置が工夫されており、イラストもかわいいのでサクサク読み進められそうです。
当シリーズからは、紫式部の生涯を描いた「まんが人物伝 紫式部」も好評発売中。
他の角川シリーズや、「紫式部」とセットでそろえてもいいですね。
↑大河ドラマの放送にあわせて出版されました。百人一首も入ってるし、古文に詳しくなれそう!
⑥:まんがで読む 源氏物語(Gakken)
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詳しさ | |
対象年齢 | 小学生中学年~ |
おすすめの人 | 歴史に興味のある小学生・古典の知識をつけさせたい親御さん |
小学校高学年より下の子たち(中学年くらい?)にも読みやすい本といえば、こちらです。
源氏物語はかなり複雑なストーリー。
でも本作では、外せないシーンがぎゅっと凝縮されていて、過不足なく読めます。
(「こんな複雑極まりないストーリーを、よく小学生向けにまとめたなあ…」と感心…)
学研学習まんがシリーズはほかに「古事記」「平家物語」「枕草子」などがまんが化されていて、
いずれも構成がうまく、読みやすい印象があります。
歴史に興味のあるお子さんに、おすすめです!
活字で読みたい人向け
ここからは、活字で源氏物語を読みたい人向けの本を6冊ご紹介します。
美しい日本語で、源氏の世界観にどっぷり浸れるラインアップです!
⑦:源氏物語(河出書房新社)
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詳しさ | |
対象年齢 | 中学生~ |
おすすめの人 | 古典に慣れていない人・角田光代さんの本が好きな人 |
難解な源氏物語を現代風に、とてもわかりやすく訳してくれているのが、角田光代さんの描く源氏物語。
女性の心理をリアルに表現することにかけては随一!の角田さんですが、
本作でもそんな彼女の魅力がいかんなく発揮されています。
古典を読む、というよりは、恋愛小説を読む、という感覚で読めそうですよ。
(実際口コミでは「他の現代語訳だと挫折したけど、角田さんのは最後まで読めた」という声が多かったです)
装丁もとてもキレイで(中の本も1冊1冊違うカラーです)、コレクションとして飾っておきたくなりますね。
読むのは高校生くらいからがおすすめですが、難易度はそれほど高くありません。
本好きな方であれば中学生からでも大丈夫だと思います。
⑧:源氏物語 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫)
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詳しさ | |
対象年齢 | 高校生~ |
おすすめの人 | 原文にも触れたい人・古典を学んでみたい人 |
「源氏物語の原文も読んでみたいけど、理解できるか心配…」という方にはぜひこちらをおすすめしたいです。
ビギナーズ・クラシックス 日本の古典シリーズは原文と口語訳が対になっています。
例)「どの帝のころだったか、女御や更衣と呼ばれる何人もの妃が仕えていた、その中に~」→「いずれの御時にか、女御・更衣あまた侍ひ給ひける中に」
見比べながら読めるので「この部分、原文ではどう表現されているの?」と思ったときにすぐにチェックできます。
学校で古典を勉強している人・古典に興味のある人 には特にぴったりの教材だと思います。
当時の暮らしぶりや常識についての解説・コラムも各所にはさみこまれているので、読み進めるうちにどんどん古典に詳しくなれるでしょう。
⑨:すらすら読める源氏物語(講談社文庫)
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詳しさ | |
対象年齢 | 高校生~ |
おすすめの人 | 原文にも触れたい人・瀬戸内寂聴さんの本が好きな人 |
2021年に惜しまれつつこの世を去った瀬戸内寂聴さんの、源氏本です。(上中下巻が刊行)
源氏物語は後半に入ると、仏教的な要素(人生・死など)が強くなっていきます。
仏教的な教えを込めた本をたくさん執筆された、寂聴さんの人生になんだか重なる部分があるなあと感じるのは私だけでしょうか…。
そんな寂聴さんが心をこめて執筆されたのが本作。おすすめの帖がピックアップされて紹介されています。(該当箇所の原文も一緒に掲載されています)
「10代の頃から源氏物語の大ファンで、何度も読み返した」と生前語っていただけあって、かなり読みごたえがあります。
なぜこういうストーリーになったのか、紫式部にはどんな思いがあったのか?なども詳しく考察されているので、
源氏物語をより深く理解できそうですよ。
⑩:全訳 源氏物語 新装版 (角川文庫)
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詳しさ | |
対象年齢 | 大人向け |
おすすめの人 | 文学に興味のある人 |
カンタンに読める、という今回のテーマからは離れますが、
「より本格的な源氏物語訳を読みたい」という方もいらっしゃるかもしれないので、取り上げました。
明治時代~昭和時代にかけて活躍した歌人・作家、与謝野晶子が訳した源氏物語です(全5巻)。
本作の特徴は、流れるようなみずみずしい日本語訳。
社会問題にも積極的に取り組んだ方だけあって、力強さもある文章です。
…ただし和歌に解説が無いところはネック💦
読み終えるまでには結構時間がかかるかもしれません。
でも読後は大きな達成感&爽快感を味わえそうです。
(「なんの本読んでるの?」って聞かれて「与謝野晶子」って答えたら、めっちゃカッコイイですよね。ぜひやってみたいです。質問されるかどうかわかんないけど笑)
⑪:10分でおもしろい源氏物語(世界文化ブックス)
難易度 | |
詳しさ | |
対象年齢 | 小学校高学年~ |
おすすめの人 | 読書があまり得意ではないお子さん・名作に興味のあるお子さん |
「小学生のうちに名作に触れてほしいけど、長い本だと挫折しそう…」
そんなときには10分で読めるシリーズの源氏物語をおすすめします。
本作は源氏物語の54帖を6話に分け、1話あたり10分で読めるよう作ってあります。
(10分で読めるシリーズは、現代の小学生の読書速度にあわせて作られており、短時間で集中して読めるよう工夫がこらされているそう)
10分なら、気を散らさずに名作を読破できそうですよね。
漢字はすべてひらがなつきで、小学生にはわかりにくそうな言葉には、丁寧な解説もアリ。
イラストのタッチがふわっと優しくて、親しみやすさ・温かみを感じられる点もポイント高し!です。
⑫:10歳までに読みたい日本名作 源氏物語(Gakken)
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詳しさ | |
対象年齢 | 小学校中学年~ |
おすすめの人 | 10歳未満の小さなお子さん・キラキラした絵が好きなお子さん |
「小さなうちにたくさんの名作に触れさせて、感受性豊かな子にしたい」という願いをお持ちの親御さんも多いと思います。
でも源氏物語はさすがに難しいよなあ…と思っていたらありました!
10歳までの小さなお子さんでも読みやすい本が!
本作は1冊の中に50点以上のイラストが盛り込まれており、文字もかなり大きめ。
源氏物語の世界観をイメージしやすいよう、冒頭には人物・貴族の暮らしぶりが大きなイラストで紹介されています。
1ページ目を開いた瞬間に、ワクワクするしかけ満載。
読書が好きなお子さんなら1人で読み進められるし、「1人で読むのはまだちょっと…」という場合は読み聞かせでも活躍してくれそうです。
(わが家でも読み聞かせ時に大活躍してくれました!)
図解・解説本で理解したい人向け
最後に紹介する4冊は、源氏物語の図解や解説本。
物語の内容や背景、また異なる視点での解釈なども知ることができるので、源氏物語をより深く理解できます。
もちろん物語のあらすじを一目で理解したい人にもおすすめです!
⑬:源氏物語 解剖図鑑(エクスナレッジ)
難易度 | |
詳しさ | |
対象年齢 | 高校生~ |
おすすめの人 | 源氏物語をもっと詳しく知りたい人・平安時代を極めたい人 |
シリーズ累計100万部を突破している人気シリーズの、源氏物語・解剖図鑑です。
本シリーズを出版しているエクスナレッジ社は、建築や住宅、インテリアに関する実用的な書籍を多く出版している会社。
専門家が監修した本が多く「信頼できる」という声が多いようです。
そんな解剖図鑑シリーズから登場した源氏本がこちら。
か~な~り!マニアックでした(^_^;)
当時の風俗や常識について本当に細かく解説されているので、平安時代にかなり詳しい人でも初めて知る内容がたくさんあると思います。
ただし難易度は高く、源氏物語が初めての人には正直不向き。
「おおまかなストーリーは把握していて、さらに学びを深めたいんだけど…」
そんなときにぴったりの1冊といえそうです。
⑭:眠れないほどおもしろい源氏物語(王様文庫)
難易度 | |
詳しさ | |
対象年齢 | 高校生~ |
おすすめの人 | 源氏物語のキャラクターを深掘りしたい人 |
源氏物語は、細かく書きわけられた登場人物の生きざまも、大きな魅力の1つ。
そんな物語の登場人物にスポットを当てて解説されているのが、本作です。
こちらの本では、21人の登場人物ごとに解説がすすみます。
作者の板野さんは、大手予備校の人気講師。
インタビュー記事などを読んでみても結構辛口で、でも本質を突いたメッセージが印象的なんですね。
本作はそんな板野さんの源氏物語に対する評価・感想がしっかり描かれていて、面白いし、何よりわかりやすいです。
複雑な物語を、整理して明快に伝えてくれているところは、さすがだなあと…。
受験生には特におすすめの1冊だと思いました。
(ただしストーリー通りに話が進むわけではないので、あらすじを知りたい場合は別の本と一緒に読んだ方が理解しやすいかも)
⑮:キャラ絵で学ぶ! 源氏物語図鑑(すばる舎)
難易度 | |
詳しさ | |
対象年齢 | 小学生~ |
おすすめの人 | ストーリーを絵やイラストで理解したい人 |
子どもも親世代も、おじいちゃんおばあちゃんも楽しみながら理解できる解説本、といえばこちら!
源氏物語のストーリーはもちろん作者の紫式部の生涯・平安時代の常識・文化などがゆるふわなイラストを交えて紹介されています。
正方形に近い形の本で、文字も大きいので、小さいお子さんでも手に取りやすいと思います。
(老眼の私でも見にくさを感じなかったので、大人世代の方にもおすすめです)
「キャラ絵で学ぶ」シリーズは、ほかにもキリスト教・神道・地獄・世界遺産といった、
「知っていると驚かれそうだけど、真面目に学ぶとなると大変そう…」
な複雑なジャンルを、イラストや図解でわかりやすく紹介しています。
比較的薄い本で場所も取らないので、シリーズを本棚にそろえておけば博識な子に育つかも。
⑯:マンガでわかる愛と謀略の源氏物語(誠文堂新光社)
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詳しさ | |
対象年齢 | 高校生~ |
おすすめの人 | 「謀略」と聞くとドキドキする人 |
ストーリーや登場人物、平安時代の常識にスポットを当てた解説本は数多くありますが、
こちらは「謀略」に焦点を当てためずらしい源氏本です。
頭脳戦や心理戦が好きな方・権力や策略に興味のある方には、かなり心に響く内容なんじゃないでしょうか。
(大河ドラマのストーリーにも通じるところがありますね…)
正直この本を読むまでは「源氏物語って恋愛や死生観はたくさん描かれているけど、宮廷工作や権力闘争はあんまり出てこないな」って思っていたのですが、
実は物語の端々に出てきていたんだな、ってことに気づかされました。
とても勉強になる1冊です。
現代の源氏本は、難易度も切り口もいろいろ。一見の価値ありです!
実はこの記事、最初は「5冊くらい紹介できればいいかな…」と思って書き始めたんです。
ところが!
調べてみると面白そうな本が、出てくるわ出てくるわ。
…というわけで、いつの間にか16冊にも膨れあがってしまいました。
こんなはずでは…といい意味で裏切られた気分です(^_^;)
源氏物語は以前からいい本がたくさんありましたが、大河ドラマの影響でさらにバリエーションが増えました。
難易度も、着目ポイントもさまざまなので、もし時間に余裕があるなら、ぜひ複数の本を手に取ってみてくださいませ。
同じ作品を違う視点から見ると、理解度がグンと上がります。登場人物の印象も変わって見えて、おもしろいですよ✨
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。