「子育てってこんなに大変なのになぜ産むの?」「子どもが欲しいと思えないんだけど…」って考えてる人、増えていますね。
実は私も子どもは、いらない派でした。
情けない話だけれど、今よりも結婚=出産 が当たり前の時代だったので、しかたなく踏み切った感じです。
覚悟がないままだったので当然というか…
出産後は10年くらい不調で、内心ずっと「いらなかったかも」と思いながら生きてきました。
でも先月、大学進学のため息子が家を出たときに、長年の葛藤への答えが出た気がしました。
同じような気持ちを持つ方のヒントになる?と思ったので、
いらない派だった私の今の思いや、旅立ちにあたりやったことなどを書き残そうと思います。
長男が与えてくれたもの

わが家の息子は、男の子あるあるかもしれませんが、超無口。
用事があるときしか口を開きません。
それでもまあ、挨拶すればちゃんと返してくれるし、暴言も吐かないし、世間ではいたってフツーの親子だと思います。
だけど子育てがうまくやれたとは、これっぽっちも思っていません。
とにかく未熟な母でした。
「もっと成績が」「もっと身長が」「もっと優しい子に」「もっと気遣える子に」と、足りないものばかり求めてしまったと思います。
今なら、
ありのままの子どもを愛する
…が目指す地点だったとわかりますが、
結局最後まで、理想通りにはいきませんでした。
自分自身のありのまますら愛せていなかったんだから、当然ですね…💦
でもそんなポンコツ母に対して、彼はあたたかい思い出をたくさんくれました。
私だけじゃなく、夫や、娘や、祖父母にも数えきれないほどの経験をくれています。
「あるもの」に目を向けることの大切さ。
それも彼は気づかせてくれましたね。
長男長女は、子育ての大事な戦友

誰かが、「長男長女は戦友」と言っているのを耳にしたことがあります。
たしかに、そうかもしれません。
長子が0歳のときは、親も0歳。
子育て経験ゼロから始めた長男との時間はまるで戦場でしたし、彼は一緒に戦いをくぐりぬけた戦友と言っていいと思います。
なんだか…長子として生を受ける子って、
「損な役目も引き受ける」と無意識に決めているようなところがあるんですよね。(一見ぼ~っとしてるんだけど💦)
この世に生まれてくる前は、器のでっかい優しい子だったんじゃないかなあ…なんて。(私も長女なので、手前味噌ですが)
日々のドタバタの中から、たくさん喜びをくれた子。
10歳ごろまでは無償の愛をくれて(こんなしょ~もない母を、心から愛してくれました)、
思春期に入ってからは、子離れの難しさや、見守る愛、期待、心配、寂しさ…いろんな学びをくれました。
もし子どもを持っていなかったら、こんなにいろんな感情を味わうことはなかったなあって思います。
もちろん子育て以外でもいろんな経験はできるんだけど…。
良くも悪くもジェットコースター級の感情を味わえたよね。
子育て最終ラウンドにいたって、ようやく私はたくさんのものを受け取っていたことに気づいたのでした。
そして「子どもはいらない」から「子どもがいて大変だったけど、自分には必要な経験だった」へと、気持ちが変わりました。
この感謝の気持ち、ちゃんと彼に伝えておきたいなあ。
思っているだけじゃ伝わりませんね。
ちゃんと言葉にして、伝えないと。
旅立つ息子に伝える、感謝の言葉

…とは決心したものの。
正直ホントに恥ずかしくて、出発直前まで言うべきか迷いました。
でもここでやらなかったら、後悔するような気もして。
新幹線の到着待ちの合間をみて、思い切って伝えてみました。(ホントにギリギリ笑)
今までありがとうね。○○がいてくれたおかげで、本当に楽しかったよ。私や父さんだけじゃなくて、おばあちゃんや妹も皆そう思ってるよ。
…。
息子はきょとんとした顔で「あ、うん」と。
あらま。そっけない。
いやいや、予想通りの反応だよ。
私は言うだけ言ったのでスッキリして、離れようとしました。
そうしたら新幹線に乗り込む直前に彼は振り返り、ぽつりと「ありがと」と。
そして息子は、車内に消えていきました。
本音を伝えるのってホントに恥ずかしいし、口にしなくてもわかってよ!って言いたいけれど、
やっぱり口にしないと伝わらなかっただろうなと思います。
そして伝えてみたら、思いもかけない景色が見えることも…ある。
もしかすると彼にとっては「なんかお礼言われたな。こっちも返そうか」程度だったかもしれません。
でも20年、30年たったあとに、
「そういえば昔お礼を言われたな。自分の存在がまわりを幸せにしていたのかな」
と振り返ることがあったら、彼自身の心を少し温められるかもしれません。
もしそんな日が来たら、すごく幸せだなと思いました。
さびしさも、大事なプレゼント

私はこの言葉を伝える際、「彼に会うのは、これが最後かもしれないから」とまで思っていました。(夫には「そこまで…」と笑われましたが笑)
でも最近は自然災害も多いし、何が起きるかはわからないし、一瞬一瞬を大事にしたくって。
(それに、それくらい思いつめていないと本音を伝えられそうになかった…💦)
でも勇気を出したおかげで、
「この瞬間のために、私は18年間母をやってきたのだ」と実感できました。
ポンコツで、失敗続きで、精神疾患も患って。
振り返るのも恥ずかしい子育ての最終局面で、こんなにステキな思い出が作れるとは…。
普通は子から親にお礼を伝えるのものかもしれないけど、
親から伝えるのもアリだね。
彼が去ってから3週間あまり。子ども部屋は静かすぎて、まだ慣れませんが、
このさびしさも、彼からの大事なプレゼントなんだと感じています。
そういえばドラえもんの中で、結婚前夜のしずかちゃんにお父さんが語りかけるシーンがあったなあ。
あのときのお父さんの気持ちが、今になってやっとわかりました。
きみはぼくらに素晴らしい贈り物を
残していってくれるんだよ数え切れないほどのね(中略)
楽しかった日、
満ち足りた日々の思い出こそ、
きみからの最高の贈り物だったんだよ少しぐらいさびしくても
思い出が温めてくれるさ引用:「のび太の結婚前夜」より
さびしさも喜びもぜんぶ味わい尽くして、気がすんだらまた自分の生活を楽しもうかな(*^^*)
ダラダラとした自分語りに、お付き合いいただいてありがとうございました。
あなたの心に、少しでも感じるものがあれば幸いです。